王子と魔女の恋御伽
偶然
15分は走ったんだろうか…
ようやく彼、相沢陸は手を離してくれた。
しばらく息を整えて、彼のほうに向き直る。
すると…
いつの間にこんな高いところまで来ていたんだろう、
たどり着いたのは、この街全体を見渡せる大きな展望台だった。
「すごい綺麗…」
平日だからなのか周りには誰一人としていなくて、まるでこの場所を独り占めしているような気分だった。
私が展望台の一番奥まで進むと隣に彼が来た。
「すげーだろ、ここ。
俺のお気に入りの場所。」
そういって街を眺める彼の横顔に思わず見入ってしまう。