王子と魔女の恋御伽


私の視線に気づいたのか、彼と目が合う。




「"相沢陸”くんだよね?」



私がそう尋ねると彼は驚いた顔をした。


それもそうか、知らない女に名前を知られてるんだもん。


だけど私は続ける。


「初めまして、相沢陸くん。


私はわけあってあなたに会いに来たの。」


そう言うと彼は「ちょっとまって」っと言って


「俺のせいで偶然アンタを巻き込んだのは悪いと思ってる。


でも、どうして俺の名前を知ってるわけ?


それに、会いに来たって…」


「それ以上は聞いちゃだめ。」


私は彼の口を封じるように人差し指をその唇にあてた。


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