王子と魔女の恋御伽
そして訪れる沈黙。
視線は合ったままだったけど、どちらも逸らそうなんてことはしなかった。
どれくらい時間が経ったんだろう。
ほんの数十秒だったのかもしれないけれど、数分にも感じる長い沈黙を破ったのは意外なことに彼だった。
「アンタの言ってることすべては分からないけど。
アンタとの出会いに何かがあるって信じてみようと思う。」
そういった彼は視線をここから見える街の風景に移していた。