王子と魔女の恋御伽
予想外なことに、彼は焦ることも、驚くことも、こんな私を怪しむようなこともしなかった。
まるで、”あの子”にそっくりだ。
ただただ何かも分からない光を求める彼女、”斉藤ことね”に。
「なぁ、アンタ、名前は?」
突然の質問に反射的に質問の答えを考えてしまう。
そういわれては見るものの、彼女、斉藤ことねと出会ったときのように名前を名乗る必要性は感じられない。
それに、これは”仕事”だから。
「それは教えない、っていうか教えたくないかなぁ。
しいて言うなら…」
やっぱり、この言葉があたしには一番に合っている。
「”魔女”かな。」