王子と魔女の恋御伽
その瞬間、まるで話を遮るかのように大きく風が吹く。
「魔女?」
彼はさっきよりも不思議そうな表情をする。
「そう、魔女だよ。私は。
だけど君は、私の事なんて気にしなくていいんだよ。
君と私は今日偶然出会って偶然この展望台にいる、
それだけのことなんだから。」
”今”私たちの関係なんて、それだけでいいんだ。
どうせ最後は嫌でも全部分かってしまうんだ。
それなら、今だけは。
”偶然”に頼るのも、悪くはない。