王子と魔女の恋御伽


「…え?」


思わず聞き間違いじゃないかと思ってしまう。


彼はベンチを立ち上がって。


「だから、アンタが生きたいって思えるようにしてやるって。」


…この人、すごくおかしい。


仮にも私たちは今始めてあったばっかなのに。


普通、そんな相手に”生きたいと思えるようにしてやる”なんて言う?


「君…大丈夫?」


もう帰るのだろうか、


展望台を離れていく彼の後ろについていく。


「俺の心配より簡単に”死ねる”なんて言った自分を心配しとけ。


水曜の夕方5時、俺はいつもこの場所にくるから。」





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