王子と魔女の恋御伽
私の家系はイブ様の家系の家臣をする役目を賜っていて私も物心ついた頃からイブ様に就いてきた。
イブ様は家臣の私にまでまるで友達のように接してくれて正直家族よりたくさんの時間を一緒に過ごしたと思う。
だからイブ様がこうやって私を心配してくれるのは嬉しいし感謝しきれないほどだ。
でも、だからこそ私は今回の任務を絶対に成功させなければならない。
「イブ様、私の事はもう心配なさらなくても平気です。
それにいくら調子がよくてもこんな時間に起きているとお体に障りかねます。
なので今日はもうお休みになってください。」
私はイブ様の体を支えてそっと横たわらせる。
「ありがとう…朱里。
それと…
本当にごめんなさい…私のせいで、あなたは…。」
そう言うイブ様の言葉を遮る。
「イブ様のせいなんかじゃないですよ。
これは、私自身が決めたことなんですから。」
「朱里…。」
そう呟くイブ様をあえて私は気にせずに「おやすみなさい」と言って部屋を出た。