シルビア
プロローグ
よく晴れた、秋空の下。
辺りが緑に囲まれた小さなチャペルには、パイプオルガンの澄んだ音とともに響き渡る、穏やかな声。
「あなたは、健康な時もそうでない時も、この人を愛し敬い、その命の限り節操を守ることを誓いますか?」
「はい、誓います」
神父の問いに迷いなく頷き、指輪を交換する純白のふたりはとても幸せそうで、それを見つめるこちらの心まであたたかさに包まれる。
「それでは、誓いのキスを」
神様の前で愛を誓い、交わすキス。
いつか自分にもその番がめぐってくると信じていた。
目の前の彼女のように、真っ白なドレスを着て、愛しい人と一生を誓える日がくると思っていた。
永遠を、願っていたんだ。
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