シルビア
「とっといれ!!」
その恥ずかしさを吹き飛ばすかのように、私は手を払い立ち上がると、逃げるように望の後ろを歩き出した。
ところが、その足元には望の鞄が置かれていたらしく、それに気付くことなく歩き出してしまった私は、鞄につまづきその場に思い切り転んだ。
「わっ、ぎゃ!」
どたっと無様に転びぶつけた膝に、足元にはどさっと鞄の中身が広がる。
「いった~……」
「三好さん大丈夫ー?」
「なわけないでしょ!鞄くらい端っこによけておきなさい!」
けらけらと笑いながらこちらに声をかける望に怒るように言う。
ったく、膝ぶつけたし荷物はぶちまけたし……!
怒りながらも広がった荷物を渋々拾おうと見ると、そこには書類や筆記具など日頃持ち歩いているのだろう物に紛れていた白い紙袋。
ん……?これ、なに?
見ればそれは薬の袋のようで『内服薬』の文字の下には『宇井望様』と名前が記されている。
「薬……?」
手に取り思わずまじまじと見てしまう。すると望はすぐさま袋を奪い、鞄へしまいこんだ。