シルビア
「実は広報部の女の子にドレス着てモデルをやってもらうはずだったんですが、その子が熱を出したからと休みで……代わりに三好さんにやっていただきたいんです!」
「も、モデル!?いやいやいや!私そんなの無理……あっ、ほら!うちの部署に他に可愛い子が沢山いますし!」
「広報部の子の体型に一番近いのが三好さんなんです!その子に合わせてドレス借りてきたので、背丈も細さも合わないと意味がないんですよー!」
他の人の代わりとはいえ、モデル?私が?
そんなの無理、絶対無理。そう思うものの、すがるように必死に頭を下げられてしまうと断りづらい。
「顔は写しません!立ってるだけで構いません!葛西さんからも了承いただきましたから!」
「って葛西さん!勝手に!」
振り向くとすでに葛西さんは廊下にはおらず、フロアの端で電話をしながら白々しく忙しそうにしている。
「どうか!お願いします!」
ぱん!と手を合わせそこまでお願いされると、やはり断ることは出来ず……。
「……立ってるだけで、いいなら」
渋々頷いた私に、枠島さんの「ありがとうございます!!」と明るい声が廊下に響いた。