シルビア
なんで、どうして、こんなに好きなのに。
忘れたふりで、忘れられることなんてなくて、終わらせたふりで、終わってなんていない。
勝手にいなくなられても、3年が経っても、他人のふりをされても。
好きで、好きで、好きで、想いは止まらない。
答えて。
『好き』でも『嫌い』でもいいから、気持ちに答えをちょうだい。
「っ……」
すると、その腕は私の手をほどかせ、体をぎゅっと抱きしめる。痛いくらいの力で、強く、離さないように。
「……望……」
「……ごめん……ごめんね、凛花。ごめん……」
繰り返す『ごめん』と、泣き出しそうな声。抱きしめる腕。
それは、あの日の光景によく似ていた。
彼の匂いに包まれ、いっそう込み上げる涙がそのカーディガンの肩を濡らして、染みをつくる。
それは今だけ、私が彼に抱きしめられている証。いずれ渇いて、消える証。
苦しいのに、楽になりたいのに、どうして嫌いになれないの。どうしてまだ、こんなに好きなの。
だから突き離して、『嫌い』と言って。
そう願うのに言葉に出せないのはきっと、心からそれを望んではいないから。
そっと顔を近づけて、重ねられた唇からは触れるだけのキス。
その唇の冷たさは、じんわりと、私に彼の存在を印した。
好き、大好き。
その想いを、鮮やかに色濃く。