シルビア
「……ん……望、っ……」
「凛花……、」
ずっと求めていた、一度離れてしまった温もりを、必死に肌に心に刻む。
真っ暗な部屋の中。つながる体を青白く照らす、窓の外の月明かり。
床一面に散らばるパールの光と、私を映す熱い瞳が、美しくなによりも愛しいと思った。
灯りも、自身を守るための殻も、いらない。
あなたさえいれば、なにもいらない。
「……凛花……凛花、」
繰り返し呼ぶ名前が心地よく、その声に抱きしめて応えれば、不意に肩にぽたりと落ちる雫。
「……望……泣いてるの?」
顔を見れば、こちらを見つめるその瞳には涙が浮かび、それをそっと指でぬぐってあげるとまた甘えるようにキスをした。
ふたり抱き合ったまま夜を越えて、確かめ合う想い。
どうしてあの日、いなくなったのか。別れたかったのか。抱きながら、泣いていたのか。
知りたいことを、全て聞こう。
朝陽がのぼり目が覚めたら、全て。
……“ふたりの明日”が確実にくるなんて、限らないことを知っていたのに。