シルビア
「凛花さん……この前『後悔してる』って言ってましたけど、結局宇井さんに気持ち伝えたんですか?」
「……伝えた、けど。答えはなかったから、それが答えなんだと思う」
私の伝えた、気持ち。
『好きなの』
『どこにも行かないで、そばにいて』
それに対しての答えは、無言の別れ。
抱き合った時は、互いの気持ちがあんなにも確かなものに感じられたのに。それもきっと、ただの思い込みだったのだろう。
結果として望は黙っていなくなった。
それが、なによりの答え。
「私には、そうは見えませんでしたけどねぇ」
「え?」
「宇井さんは誰より凛花さんを見てたし、わかってた。想ってた。少なくとも、私にはそう見えました」
私を見ていた?想っていた?
彼の優しい目は、周りにそう、見えていた?
「なのにいいんですか?明日の展示会準備から、展示会が終わるまでがきっと最後のチャンスですよ」
「……けど、今更」
「今更なんて言葉、ないです。凛花さん私に言ってくれたじゃないですか、『本当のことは聞かなきゃわからない』って」