シルビア
愛しくて、愛しくて、たまらなかった。
凛花とのことになると、したいと思えることが沢山あった。
一緒に暮らしたい。そのために、部屋を借りよう。
ふたりで眠る大きなベッドを買って、ふたりで食事をできるダイニングテーブルも買おう。
仕事も、変えよう。今の仕事は好きだけど、給料面ではおそらく凛花と同じか、むしろ低いかもしれない。
それならいっそ転職をして、週に一度、せめて日曜くらいは丸一日ふたりでいられる時間を作れる仕事につこう。
そして、新しい就職先が決まったら……。
手元の青いケースには、凛花に内緒で買った婚約指輪。シルバーのリングに小さなダイヤが光る、シンプルだけど綺麗な、まるで凛花のような指輪。
内側には『Dear.Rinka』、と名前が刻まれている。
これを渡して、伝えよう。
『俺と、結婚してください』と。
そう決意した矢先に、異変は訪れた。
元々視力の弱まっていた目が、突然霞みがかって見えるようになり、見えづらさを増した。
疲れやすい体はさらに重くなり、怠さで体が動かないことも増えた。
これまで以上の息苦しさ、めまい、まるで自分の体が自分のものじゃないかのよう。
もしかして、いや、まさか……でも。
自然とたどりつく、嫌な想像。そうであってほしくない、その願いも虚しく、現実は残酷だった。