シルビア
『……あんたのこと、忘れられるなら』
バカな人。俺なんて忘れて、誰かと幸せになればいいのに。
『それじゃまるで、人任せにするみたい』
震える声で、平然を装うから、苦しくなるよ。
『どうして、黙っていなくなったの……?』
本当は、吐き出したいんだ。まだ好きなんだと伝えて、体のことも、全て隠さず話したいんだ。
真っ白なドレスに身を包んだ君を、抱きしめたいと思った。
いつかその姿で自分以外の誰かの隣に立つかと思うと、心が壊れそうだった。
そんな心を知らずに、君はまた泣くから。口付けて、しまった。
突き放しても、逃げても、追いかけて向き合うから、愛しさは止まらずその細い体を抱いた。
彼女の肌がこんなに温かく柔らかいこと。
月明かりに照らされ、美しいこと。
全てを刻み付けるように。何度も、何度も。
あぁ、神様
叶うのなら、彼女の未来を俺にください。
もうなにもいらないから、残り少なくたって構わないから、この目が最期に映すものは凛花の笑顔でありたいんです。
そう身勝手なことを願って、涙が出た。