シルビア
恋人として再度歩き始めた俺と凛花は、離れていた時間を埋めるようにたくさんの話をした。
これまでのこと、互いの気持ち、変わったことと変わらないこと。それと、未来の話。
『線香花火?』
ある日の夜、俺の部屋のベッドで、ふたり電気もつけずに横になっていると、凛花は不思議そうな顔で首を傾げた。
『そう。不安定に燃えて、ポトっと落ちる。線香花火みたいだなーって思ってた』
それは、俺が今まで自分の人生に重ねていたものの話。
そんな話を初めて人に話すのは少し気恥ずかしかったけれど、凛花にはこんなことすら聞いてほしいと思ったから。
『人の人生なんてみんな線香花火みたいなものだと思うけどね』
『え?』
『必死に光って、時々弱って、でも頑張って燃えている。それでも、終わる時は終わっちゃうんだよ。永遠なんて、ないから』
俺だけじゃない。皆、そう。
必死に今を生きている。永遠がないことを知っているから。
『だけど私はそれでも、命が終わる時に“綺麗だったね”って言われたい。そういう生き方を、したい』
だから、悔いのないように生きるんだ。
綺麗だった、と笑えるように。
そう微笑んで俺を見上げた凛花に、その体を抱きしめて、またひとつキスをした。