シルビア





「……よし。大体意見もまとまったし、続きはまた次回。お疲れ様でした」



2時間ほどの会議を終え、「お疲れ様でした」と皆それぞれに席を立つ頃には、時刻は早くも15時すぎ。



本格的なデザインはあとでじっくり考えるとして、次は取引先への電話だ。新作の連絡と、入れ替えの話をして……。

休む間もなくパソコンのページを開き、電話を取ろうと手を伸ばす。



「凛花さん、会議お疲れ様でした」



すると、背後から声をかけてきたのは葛西さん。彼はこの肌寒い中、スーツのジャケットを脱ぎシャツのそでをまくっており、少し暑そうだ。



「葛西さん。商品チェック終わった?」

「終わりましたよー、いやぁまさかチェックする商品が細かいうえに80種類もあるなんて……疲れました……」

「だから葛西さんに頼んだんだけどね」

「ちょっと!俺のことなんだと思ってるんですか!!一応上司!先輩!!」



細かい検品作業はやはり大変だったのだろう。口を尖らせ怒る彼を無視して、私は視線を目の前のパソコンへと向けた。



商品の確認など、ほぼ雑用に近い仕事を主任という立場の人に任せる仕事ではないこともわかっている。

けれど正直、アクセサリーや流行がわからないどころか、彼女いない歴6年で女心もわからない彼は、商品開発系の会議では全く役に立たない。

それなら、その時間を使って他の仕事をしてもらったほうがありがたい。



そんなしれっとした態度の私に葛西さんは怒りながら、はっと本題を思い出す。



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