シルビア
「あああ~っ……もーーー!!!」
ところが、そんな穏やかな気持ちは、ほんの一瞬。
その後も他の仕事をやりながら展示会のことを考えるものの、何ひとつアイデアは思い浮かばず……。
気付けば皆はとっくに帰っており、ひとり取り残されていた夜のフロアで、私はぐしゃぐしゃとかいた頭を抱え唸り声をあげていた。
展示会のディスプレイ、全っっ然思いつかない……!
適当に並べるだけじゃ他のインテリアと比べて絶対見劣りするし、けど春らしい飾り方もわからないし。
先ほどからネットや雑誌でもあれこれ見ているけれど、やはりいまいちパッとしない。
やっぱり自分たちで『これ』ってテーマをひとつ決めて、それに対して物を並べなきゃ伝えたいものがなにかすらもわからないよね。
けどそもそも、そのテーマも決まらない。
なにげなしにみれば、左手首の銀色の腕時計は20時を指そうとしている。
20時……どうしよう、今日はもう帰ろうかな。いや、でももう少し考えたらいい案が浮かぶかも……。
そう考えデスクの上のボールペンを再度手に取った、そのとき。フッとフロア内の電気は消え、一瞬にして真っ暗になる視界。
「なっ!?なに!?」
いきなりどうしたの!?停電!?
驚き立ち上がりキョロキョロと辺りを見渡すものの、そこは窓から外の灯りが少し差し込むだけで他に人もいない。