シルビア



「あーん、宇井さん行っちゃったぁ」

「織田さん、この前任せた仕事は?終わった?」

「えー?あっ、あれですかぁ。わからないんでやってないです〜」



出た。得意の『わからない』。わからないじゃない!と声が大きくなりそうなのをぐっと堪え、精一杯落ち着いて言う。



「じゃあ、分からないなら聞いてくれる?私だって他の子だって、聞いてもらえれば説明するから」

「はぁい。あっ、じゃあ宇井さんにきこーっと」

「……宇井さんじゃわからないだろうからこっちに聞いてって言ってるんだけど?」



どれだけ望がいいのよ!

好きな人にアピールしたいのはわかるけど……それはそれ!これはこれ!区別つけてちゃんと仕事しなさい!!

って、怒鳴りたいけど……我慢だ私……我慢、我慢我慢我慢……!!




「えー?三好さん言い方こわーい。なんですかぁ、若い子相手に僻んでるんですかぁ?」

「は!?」

「確かにぃ、麻美はまだハタチで三好さんより10も歳下で、男の子からも可愛いって言われるけど、でもだからってイビリとかよくないと思いまーす」

「イビリって……!」



イビってないですけど!普通に注意しただけですけど!!

若い?可愛い?そうかもしれないけどさ……自己評価すっごい高い子だね!うらやましいね!!



ずけずけと言われる、あまりに無神経なその言葉に、込み上げる怒りを全力でこらえる。


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