シルビア
「噂では聞いてましたけど、宇井さんって本当面白い人なんですねぇ」
そんな望に、隣に座る若い女の子は上目遣いで甘い声を出す。
「え?そう?俺そんなに有名?」
「有名っていうか、うちの部署では超人気ですよー?イケメンで、面白くて、優しい営業マンって」
「嬉しいなぁ、営業部の女性陣たちには『ヒョロ男』って蔑まれてるからねぇ……」
「ヒョロくなんてないですよ~」と、彼女にきゃっきゃと腕を触られ、その顔は嬉しそうに目尻を下げた。
……なによ、嬉しそうにデレデレしちゃって。
よかったわね、人気者で。若い子にもきゃーきゃー言われて、さりげなくボディタッチもされて。
楽しげなふたりに、私はふんっとビールを飲んだ。
「三好さーん。隣、いいっすか?」
「あ、はい。どうぞ」
すると隣に座るのは、先ほど望に話しかけていた、つり目の細身の男の子。
年齢は私より5歳くらい下だろうか。茶色い短髪をツンツンとさせている。
……おお、なかなかいい感じ?好き嫌いの別れそうな顔立ちではあるけれど、私的にはわりと好みのタイプだ。
「初めまして!商品開発部の佐田です!いやー、三好さんとこうやって話せて嬉しいっす!」
「え?どうして?」
「前に社内で見かけて以来いいなーって思ってたんすよ!けどなかなか話せる機会もないし……だから今回葛西さんから『凛花さんのための』って聞いて絶対行きたいと思って!」
そういえば葛西さんが『来たいって言ってる人もいた』って話していたっけ。
彼のことだったんだ、と思い出し納得する。