シルビア
「独身、はともかく彼氏もいないんすか?マジで?」
「うん、本当に」
「よっしゃ!じゃあ俺本気出しちゃいますから!」
お、おぉ……肉食系。
若々しいギラギラとした感じに、ついていけず一歩引いてしまうものの、あははと精一杯の笑顔を見せた。
「アクセサリー事業部といえばあの子、織田さんが異動していきましたよね?」
「えぇ。あ、そういえば織田さんって元々商品開発部だったっけ」
「そうなんすよ。俺は第1部署で彼女第2部署だったんで、あんまり接点はないんすけど。あの子すごいっすよねー、小悪魔っていうか」
もともと部署が同じということで、自然と出る織田さんの話題に彼……佐田くんは、思い出すように笑いながらビールを飲む。
「あの子今、宇井さん狙ってません?」
「えっ、どうして知ってるの?」
「やっぱり。あの子、商品開発部の頃からちょっと好みの男は狙って落として、すぐ飽きてまた次の男狙っての繰り返しで。けど宇井さんだけは落ちなかったから、やけにこだわっちゃってるんすよね~」
あー……そうか、織田さんの望への熱いアピールはそういうわけか。
落とせない男はいない、って感じだったのに落とせない男がいれば当然プライドは傷つくし、意地でも落としてやろうとする。
けどその為に部署異動までしちゃうなんて……すごい熱意だ。
いや、そこまでさせてしまう望がすごいのだろうか。