シルビア
「三好さんカラオケ行かないんすよね?じゃ、俺らも行きましょーか」
「え?あ、うん」
声をかけてきたのは、佐田くん。彼も二次会には行かないらしく、ふたりで駅の方へ向かい歩き出す。
「佐田くん、カラオケ行かないんだ?好きそうなのに」
「そりゃそうっすよ。カラオケより三好さんの方がいいっすから」
「え?」
その言葉の意味を問うように首を傾げると、彼はそれとなく私の手を握り、足の方向を駅前から一本入ったところの細道へと向け歩き出す。
「佐田くん……?」
あれ、どこに行くんだろう。こっち方面はあんまり来たことないけど、なにがあったっけ。
えーと、思い出せ。駅から見て、こっち側……。
歩きながら、目の前の明るい通りを見て思い出す。そうだ、この先にあるのは……数件のラブホテルが並ぶ、ホテル街。
ということはつまり、彼はこのままそこへ向かうつもり、ということで……。
「あ、あの、佐田くん!?どこに向かってるか察しがついちゃったんだけど……その、」
「ん?ダメっすか?」
「ダメっていうか……えーと、」
「『付き合ってないからダメ』とか言われても、俺引くつもりないっすよ。お互いもう大人なんだから、こういう形から始まったっていいでしょ」
に、肉食系……!!
堂々と言い切る彼に、こちらの方が年上だというのにまともな反論も出来ず、腕を引かれて歩くしか出来ない。