ユウウコララマハイル
▦▢⋄◈☒◪▣❖ ▬◨◩◫⋄◙▭▮☑□⋄◙
朝一番に出勤したバイトと文具担当社員が、店のシャッター前に水槽が置いてあるのを発見した。
その水槽の中には木屑のようなものが敷き詰められており、埋もれるようにひまわりの種とキャベツの葉と芯が置いてある。
そのさらに奥深く、木屑の中に潜るように赤ちゃんハムスター八匹が丸まっていた、らしい。
それが昨日で、今日出勤した際にスタッフのひとりが開口一番で言ってきた。
ミーティングもその話が中心で、「捨て猫は聞くけど捨てハムスターは聞かない」「どうしてうちの店なのか」「心ない人がいるのね」などに終始した。
昨日の時点でスタッフの中で飼える人がいないかと探し、二匹の里親が見つかったらしい。
残りはどうするのかという話になり、POPを書くことにしたそうだ。
お客さまに渡す手前、病気の有無を確認したほうがいいということで、獣医にも連れて行ったらしい。
問題なく帰ってきたハムスターは今、木屑の中で隆起しながらかさこそと静かな音を立てながら寝ていて―――なぜか、書籍売り場にいる。
各社の夏の百冊が置いてあるイベントスペースの隣、以前古沢に手伝ってもらった入浴剤つき文庫小説を置いていたところだ。
完売した成果が評価されたのか、ここなら大丈夫と店長の独断と偏見で決められたそうだ。
ハムスターが入っている水槽は昨日より少し格上げされたようで、中に家の形をした巣箱、餌入れと回し車が入っている。
これは昨日飼うことになった主婦スタッフが自分のものと一緒に買ってきたそうだ。
今もっぱら残った六匹の世話をしているのは、もう一匹を引き取ったバイトで、先日お客さんにナンパされた子だ。
可愛らしい顔立ちで、可愛らしい子ハムスターの世話をしている水島は、十代のような瑞々しさを発揮して男性客を魅了し騙している。
しかし彼女はナツミと三つしか違わない。
見た目と同じような甘ったるい字で書かれた水島のPOPが水槽の隣に置かれている。
「飼い主募集中」「生後二週間程度」「病気ナシ(獣医さんに確認済み)」そしてハムスターの可哀相な境遇が一枚の紙に書かれていた。
休暇中になんの相談もなく決められてしまったことだが、まぁしょうがないかなとナツミは諦めている。
朝一番に出勤したバイトと文具担当社員が、店のシャッター前に水槽が置いてあるのを発見した。
その水槽の中には木屑のようなものが敷き詰められており、埋もれるようにひまわりの種とキャベツの葉と芯が置いてある。
そのさらに奥深く、木屑の中に潜るように赤ちゃんハムスター八匹が丸まっていた、らしい。
それが昨日で、今日出勤した際にスタッフのひとりが開口一番で言ってきた。
ミーティングもその話が中心で、「捨て猫は聞くけど捨てハムスターは聞かない」「どうしてうちの店なのか」「心ない人がいるのね」などに終始した。
昨日の時点でスタッフの中で飼える人がいないかと探し、二匹の里親が見つかったらしい。
残りはどうするのかという話になり、POPを書くことにしたそうだ。
お客さまに渡す手前、病気の有無を確認したほうがいいということで、獣医にも連れて行ったらしい。
問題なく帰ってきたハムスターは今、木屑の中で隆起しながらかさこそと静かな音を立てながら寝ていて―――なぜか、書籍売り場にいる。
各社の夏の百冊が置いてあるイベントスペースの隣、以前古沢に手伝ってもらった入浴剤つき文庫小説を置いていたところだ。
完売した成果が評価されたのか、ここなら大丈夫と店長の独断と偏見で決められたそうだ。
ハムスターが入っている水槽は昨日より少し格上げされたようで、中に家の形をした巣箱、餌入れと回し車が入っている。
これは昨日飼うことになった主婦スタッフが自分のものと一緒に買ってきたそうだ。
今もっぱら残った六匹の世話をしているのは、もう一匹を引き取ったバイトで、先日お客さんにナンパされた子だ。
可愛らしい顔立ちで、可愛らしい子ハムスターの世話をしている水島は、十代のような瑞々しさを発揮して男性客を魅了し騙している。
しかし彼女はナツミと三つしか違わない。
見た目と同じような甘ったるい字で書かれた水島のPOPが水槽の隣に置かれている。
「飼い主募集中」「生後二週間程度」「病気ナシ(獣医さんに確認済み)」そしてハムスターの可哀相な境遇が一枚の紙に書かれていた。
休暇中になんの相談もなく決められてしまったことだが、まぁしょうがないかなとナツミは諦めている。