ユウウコララマハイル
「昨日休みだったスタッフに飼えるかどうか聞いてみたんですけどぉ、大島くんが二匹引き取ってくれるそうです。これであと四匹ですね」


大島は明るすぎる茶髪の青年で、コミック担当のバイトだ。
見た目は軽いのだが、芯がしっかりしている子なので、水島のお眼鏡に適ったらしい。
水島の外見も中高年層から受けがわるいが、しっかりしている子で侮れない。
先ほどもハムスターを飼いたいと言った男性客に「餌目的では困る」と見抜いて断っていた。


ハムスターが活発に動き始める。
夜行性である彼らが目覚め始めたのだろう。


時刻は七時になろうとしている。
まだ外が明るい。
長くなった陽は、これから徐々に短くなっていくのだろう。


水島が水槽の掃除を始めた。
起き出す頃に掃除をしたほうがハムスターにストレスがかからないのだそうだ。
そのタイミングに餌も変えてやる。
水を与えたほうがいいのかと思ったが、この時期は野菜の水分で充分だということらしい。
水島の彼氏がハムスターを飼っていて、その聞きかじりの知識が今とても役立っている。


ナツミは水島にレジも一緒に見るように指示し、代わりに閉店業務をすることにした。
小動物が苦手なお客さんもいるかもしれないし、ハムスターを触った手で販売をするのもどうかと思ったのだが、幸いなことにいつも持ち歩いている携帯用消臭剤が除菌もできるのだ。
夏場は体臭などがキツい方も多く、ナツミは隠れてこっそり使っているものだが、今回は堂々と貸すことができる。
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