ユウウコララマハイル
「親身になって私も世話とかしなきゃいけないんだろうけどさ、瞬時に過ぎったのは、スペース減ると売り上げ落ちるってことだったんだ。なかなか私サイテーだなと思ってしまったわけよ。だから結局全ての世話を水島に頼んじゃった」
「そうやってさ、抱え込むのやめたら? 根本的にお前のせいじゃないだろ」


無責任に捨てたヤツがわるいのだ。


「これって抱え込んでるの? それって古沢の専売特許じゃん」
「お前な―――」


俺をなんだと思っているんだ。


「一緒に暮らしていると移るのかなぁ、性格」
「ひどい言い草だな」
「ちょっとだけ、いいように捉えて。こんな軽口言えるの、古沢だけだってこと」


中村の目じりに密かな笑い皺ができた。
そんな控えめな笑い方に心臓が少しだけ、とくんと跳ねる。
見慣れているはずなのに、普段よりも色っぽく見える。


「うちでも飼うか? ハムスターは前に飼ったことがあるから、予備知識はばっちりだ」


カケルは小さい頃、よく動物を拾ってくる子供だった。
犬猫はもちろんのことスズメやカメ、タヌキなど。
それ全てを育てることはできなかったけれど、祖父母はそれを咎めるようなことはせず、温かく見守ってくれた。
今も動物は好きだ。


「私がね、苦手なんだハムスター」
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