ユウウコララマハイル
「掃除中に甘い香りがすると思ったら、正体はバナナだったのか」
流れるような動作でテーブルの上に運ばれたのはパウンドケーキだ。
薄くスライスしたバナナが表面に飾られ、それが柔らかくこんがり焼けている。
「中にもバナナ味がたっぷり」
砂糖を舐めるより甘い熱を持ったバナナが、生地と戯れるように一体になって口の中に広がっていく。
「バナナのパウンドケーキなんだから、バナナ味に決まってるだろ」
この中にバナナが二本分入っていると古沢が教えてくれた。
「真智さんに教えてもらった、簡単にできるって」
パティシエールの真智もナツミの高校の先輩にあたる。
ただし面識はほとんどない。
郡市の高校は四校あるが、ほぼ中心部に近い二校で生徒を独占している。
そのうち一校は工業と農業中心の職業高校で、そこに入りたくない連中がこぞってナツミの通っていた進学校に進むという、ある種のシステムが成り立っている。
クラス数も多いので、同学年でも知らない顔があるくらいだ。
部活等で一緒にならない限り、先輩の顔などもちろんわからない。
ゆえにナツミも「真智さん」と呼んでいる。
流れるような動作でテーブルの上に運ばれたのはパウンドケーキだ。
薄くスライスしたバナナが表面に飾られ、それが柔らかくこんがり焼けている。
「中にもバナナ味がたっぷり」
砂糖を舐めるより甘い熱を持ったバナナが、生地と戯れるように一体になって口の中に広がっていく。
「バナナのパウンドケーキなんだから、バナナ味に決まってるだろ」
この中にバナナが二本分入っていると古沢が教えてくれた。
「真智さんに教えてもらった、簡単にできるって」
パティシエールの真智もナツミの高校の先輩にあたる。
ただし面識はほとんどない。
郡市の高校は四校あるが、ほぼ中心部に近い二校で生徒を独占している。
そのうち一校は工業と農業中心の職業高校で、そこに入りたくない連中がこぞってナツミの通っていた進学校に進むという、ある種のシステムが成り立っている。
クラス数も多いので、同学年でも知らない顔があるくらいだ。
部活等で一緒にならない限り、先輩の顔などもちろんわからない。
ゆえにナツミも「真智さん」と呼んでいる。