ユウウコララマハイル
「カケルもナツミちゃんも酷い会社に勤めていたんだね」
マスターが感慨深く頷いている。
マスターと古沢が並ぶと目がチカチカするような気がする。
ふたりの髪色は同じだ。
ただマスターの瞳はナツミと同じだが。
「そんな会社だから、退職後もたまに古沢が世話しに行ってますよ。たまぁに連休取ることがあると思うんですけど、大概東京行ってます。今の部長後輩なんですけど、自分の仕事が手一杯で部下を社内ニートにしてしまうらしくて、泣きついたみたいで。私なら絶対断るけど、古沢は恩があるのか断れなかったらしいです」
「社内ニート?」とマスターが首を傾げている。
古沢が会社はあるのに仕事がない状態だと説明している。
「本当なら先輩が後輩に仕事を教えて戦力になるように指導するんだけど、先輩にそんな余裕がない。仕事を見て盗んで使い物になるヤツなんてほとんどいないし、そういうヤツに仕事を任せられないわけだから、結果勤務時間中暇を潰すしかない」
「本来なら離職者がそういった指導を行うのは違反だけど、社外秘も多いですからね。でもこの件に関しては上が黙認しているみたいです。古沢の無報酬が条件で――」
「まぁ教えてるの基礎中の基礎の言語指導だからな。問題ないと判断したんだろ」
「大学で教わったことは役に立ちませんって安易に言っている指導だね、実践向きにするっていう」
おばあさんは話を真剣に聞いている様子だったが、マスター以上に意味がわからないようで困惑した皺を顔に刻んでいる。
ごめんなさいとナツミは頭を下げ、話をもとに戻しますとおばあさんに柔らかく微笑む。
マスターが感慨深く頷いている。
マスターと古沢が並ぶと目がチカチカするような気がする。
ふたりの髪色は同じだ。
ただマスターの瞳はナツミと同じだが。
「そんな会社だから、退職後もたまに古沢が世話しに行ってますよ。たまぁに連休取ることがあると思うんですけど、大概東京行ってます。今の部長後輩なんですけど、自分の仕事が手一杯で部下を社内ニートにしてしまうらしくて、泣きついたみたいで。私なら絶対断るけど、古沢は恩があるのか断れなかったらしいです」
「社内ニート?」とマスターが首を傾げている。
古沢が会社はあるのに仕事がない状態だと説明している。
「本当なら先輩が後輩に仕事を教えて戦力になるように指導するんだけど、先輩にそんな余裕がない。仕事を見て盗んで使い物になるヤツなんてほとんどいないし、そういうヤツに仕事を任せられないわけだから、結果勤務時間中暇を潰すしかない」
「本来なら離職者がそういった指導を行うのは違反だけど、社外秘も多いですからね。でもこの件に関しては上が黙認しているみたいです。古沢の無報酬が条件で――」
「まぁ教えてるの基礎中の基礎の言語指導だからな。問題ないと判断したんだろ」
「大学で教わったことは役に立ちませんって安易に言っている指導だね、実践向きにするっていう」
おばあさんは話を真剣に聞いている様子だったが、マスター以上に意味がわからないようで困惑した皺を顔に刻んでいる。
ごめんなさいとナツミは頭を下げ、話をもとに戻しますとおばあさんに柔らかく微笑む。