ユウウコララマハイル
「そんなに僕、難しいこと頼んだかな?」
「あの程度ならおそらく朝飯前だと思うんです。問題は儀式のほうで」
「儀式?」
「あのぬいぐるみはハルさんが作ったものなんですよね? だからですよ」
ますます意味がわからないとマスターは首を捻る。
「土橋さんでしたっけ? あのおばあさんの栞の裏に意味不明な文字があったでしょう。あの言葉のことですね。あれは一種のおまじないなんですが、その言葉は二度使ってはいけないそうなんです。その言葉選びが難しいってことですね」
「うちのハルさんはそういうこと話したがらないから、知らなかったよ」
マスターは天使説肯定派ですよね? とナツミは確認するように訊ねる。
マスターは力強く頷いた。
「古沢の場合は私に頭が上がらないってこともあるから別なんですけど、そうでなかったら完璧な秘密主義だと思うんです。私たちは本人ではないからどうしても彼らを『天使』というフィクションのフィルターを通して見てしまいます。でも彼らにとってはノンフィクションであるわけですよ。この差は相当に大きいです。話したがらないのはとても自然なことだと、私は思うんですけども」
そんなに悲しそうな顔しないでください。
これは持論なんで。
ナツミは励ますように呟いたが、マスターは相当堪えてしまったようだ。
萎むように肩を落としてしまっている。
「瞳の色の差は、大きいね」
嘆息を落としながら、マスターは二五〇円をナツミに渡した。
「あの程度ならおそらく朝飯前だと思うんです。問題は儀式のほうで」
「儀式?」
「あのぬいぐるみはハルさんが作ったものなんですよね? だからですよ」
ますます意味がわからないとマスターは首を捻る。
「土橋さんでしたっけ? あのおばあさんの栞の裏に意味不明な文字があったでしょう。あの言葉のことですね。あれは一種のおまじないなんですが、その言葉は二度使ってはいけないそうなんです。その言葉選びが難しいってことですね」
「うちのハルさんはそういうこと話したがらないから、知らなかったよ」
マスターは天使説肯定派ですよね? とナツミは確認するように訊ねる。
マスターは力強く頷いた。
「古沢の場合は私に頭が上がらないってこともあるから別なんですけど、そうでなかったら完璧な秘密主義だと思うんです。私たちは本人ではないからどうしても彼らを『天使』というフィクションのフィルターを通して見てしまいます。でも彼らにとってはノンフィクションであるわけですよ。この差は相当に大きいです。話したがらないのはとても自然なことだと、私は思うんですけども」
そんなに悲しそうな顔しないでください。
これは持論なんで。
ナツミは励ますように呟いたが、マスターは相当堪えてしまったようだ。
萎むように肩を落としてしまっている。
「瞳の色の差は、大きいね」
嘆息を落としながら、マスターは二五〇円をナツミに渡した。