ユウウコララマハイル
いいこともたくさんあったはずなのに、それに気づかない振りをして、自分は不幸だと嘆き諦めた。
この外見だから、この性格だからと。
「ちがうもん。パンちゃんがいたらおきないもん。だってパンちゃんがまもってくれるから」
「そうかもしれないな。でも考えてごらん? パンがいたときも喋ると笑われていたんだろ? でもパンがいたから気にならなかった。それはどういうことか、わかるね。パンがいても辛いことが起こるんだ。でもパンがイツキの心の支えになっていたから、イツキは笑っていられたんだね。だから、パン自体に力はないんだよ。イツキの心の力なんだ。イツキがパンを信じた心。だからイツキの心は不運に負けないくらい強いんだ」
いいときも、わるいときも、続くときは続く。
電話で「どうしてこんなにも幸運を運ぶアイテムを作れるのか」と聞いたらハルは「たまたまだ」と言った。
たまたま続いただけなのだと。
「よっぽど持ち主になった方の信じる心が強いのね」とも笑った。
信じたものは強い。
病は気からというように、飲んだ薬がたとえ栄養剤だとしても、良薬と信じたものは治ってしまうことがあるのと一緒だ。
最初から穿った見方をすると、効き目なんかないのと同じで。
「だから不運だと思っても、イツキの心の力で幸運に変えられるんだよ。嫌なことも、いいことに変えられるんだ。先生に叱られたことは、次はこうしたらいいって勉強になったし、バトンのことは“どうしたら落とさずに渡せるんだろう”って考えるきっかけにするんだ。そうして思考錯誤したら、バトンを落とすことはないよ」
試行錯誤は難しいか。
代わる言葉をカケルは必死に探したけれど、イツキは雰囲気で読み取ったらしく「がんばってみる」と納得した様子だった。
「このパンちゃんは、だからにゅーパンちゃんなのね。イツキをまもってくれるパンちゃんじゃなくて、しずかにイツキのはなしをきいてくれるパンちゃんだね」
この外見だから、この性格だからと。
「ちがうもん。パンちゃんがいたらおきないもん。だってパンちゃんがまもってくれるから」
「そうかもしれないな。でも考えてごらん? パンがいたときも喋ると笑われていたんだろ? でもパンがいたから気にならなかった。それはどういうことか、わかるね。パンがいても辛いことが起こるんだ。でもパンがイツキの心の支えになっていたから、イツキは笑っていられたんだね。だから、パン自体に力はないんだよ。イツキの心の力なんだ。イツキがパンを信じた心。だからイツキの心は不運に負けないくらい強いんだ」
いいときも、わるいときも、続くときは続く。
電話で「どうしてこんなにも幸運を運ぶアイテムを作れるのか」と聞いたらハルは「たまたまだ」と言った。
たまたま続いただけなのだと。
「よっぽど持ち主になった方の信じる心が強いのね」とも笑った。
信じたものは強い。
病は気からというように、飲んだ薬がたとえ栄養剤だとしても、良薬と信じたものは治ってしまうことがあるのと一緒だ。
最初から穿った見方をすると、効き目なんかないのと同じで。
「だから不運だと思っても、イツキの心の力で幸運に変えられるんだよ。嫌なことも、いいことに変えられるんだ。先生に叱られたことは、次はこうしたらいいって勉強になったし、バトンのことは“どうしたら落とさずに渡せるんだろう”って考えるきっかけにするんだ。そうして思考錯誤したら、バトンを落とすことはないよ」
試行錯誤は難しいか。
代わる言葉をカケルは必死に探したけれど、イツキは雰囲気で読み取ったらしく「がんばってみる」と納得した様子だった。
「このパンちゃんは、だからにゅーパンちゃんなのね。イツキをまもってくれるパンちゃんじゃなくて、しずかにイツキのはなしをきいてくれるパンちゃんだね」