〈BL〉一時の幸福(しあわせ)〈短編〉
『送ってくれて
ありがとうな』
本当はもう少し
一緒にいたい気持ちを
抑えて 唇を離し、
もう一度
礼を言って車から降りた。
愛してる。
俺顕正を愛してる。
今、車から降りたばかりなのに
戻って抱き付きたい衝動に駈られる。
重症だよな。
自分でもわかってる。
十一年越しで無理だと
思っていた恋が叶ったからだ。
「陽加」
ふいに呼ばれた。
『ん? 何だ?』
寂しい気持ちを隠して
努めて明るく応えた。
「渡すの忘れるとこだった」
そう言って手招きされ
運転席側に回ると
手にひんやりした
硬い物を握らされ、
そっと開くと
キーホルダーが付いた鍵があった。
俺は吃驚して顕正と
鍵を交互に何度も見た。
「マンションの鍵、なくすなよ?」
いたずらっ子みたいな
顔をして、デコピンをされた。
ありがとうな』
本当はもう少し
一緒にいたい気持ちを
抑えて 唇を離し、
もう一度
礼を言って車から降りた。
愛してる。
俺顕正を愛してる。
今、車から降りたばかりなのに
戻って抱き付きたい衝動に駈られる。
重症だよな。
自分でもわかってる。
十一年越しで無理だと
思っていた恋が叶ったからだ。
「陽加」
ふいに呼ばれた。
『ん? 何だ?』
寂しい気持ちを隠して
努めて明るく応えた。
「渡すの忘れるとこだった」
そう言って手招きされ
運転席側に回ると
手にひんやりした
硬い物を握らされ、
そっと開くと
キーホルダーが付いた鍵があった。
俺は吃驚して顕正と
鍵を交互に何度も見た。
「マンションの鍵、なくすなよ?」
いたずらっ子みたいな
顔をして、デコピンをされた。