〈BL〉一時の幸福(しあわせ)〈短編〉
出ないのもどうかと思い
鍵を開けて家の中にあげた。

部屋に着いたものの
二人とも黙ったままで
話そうとしない。何を話せば
いいのかわからない……

マワされたことは
聞いてほしいが
言いたくない気持ちもある。

「何かあったのか」

ふいに、顕正が口を開いた。

ビクッと身体ぁ跳ねたのを
見逃さなかったのか、
距離を開けて座っていたのを
縮めてゆっくりと抱き締められた。

その瞬間、俺は泣いていた。

そう、帰ってきてからずっと
我慢していた……

「陽加!?」

いきなり泣き出した俺に
顕正が慌てて離れた。

『俺の話、聞いてくれか?』

「当たり前だろう」

数時間前に
起きたことを包み隠さす話した。

§公園に早めに着いたこと§

§トイレで マワされたこと §

§あの時、まだ公園にいたこと§

『情けないよなぁ。

二十七にもなって、
抵抗一つできずにマワされるとか 』

自傷気味に呟いた。
< 14 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop