〈BL〉一時の幸福(しあわせ)〈短編〉
高校を卒業後、
顕正は大学に進学し
今は、二人が通っていた
高校で化学教師をしている。

俺は親に甘えて
ニートな生活をおくっている。

そして、そんな
ダラダラニートな俺に
見合い話を持って来たのは
結婚でもすれば、
俺がちゃんとするだろうという
思惑が見え見えだ。

とりあえず、待ち合わせの
レストランに着き、
両家の挨拶を済ませた。

約十年振りに着た
スーツは肩が凝る。

俺がゲイだとは知らない
三人はすっかり、
意気投合している。

女三人の中に俺一人……

居心地が非常に悪い。

どうしたものかと思い
ふと、入り口を
見るとスーツを着た顕正がいた。

アイツも見合いか……?

はぁ~

失恋決定だな。こりゃ。

その方がいいのかもな……

下手に告白なんかして
振られて気まずくなるよりは
友人のままの方がいい。

「陽加、
何ボーとしてるのよ」

顕正が見えなくなるまで
見ていた俺は母さんに
呼ばれてはっとした。

『ごめん、なんか緊張しちゃって』

適当に誤魔化す。

「あら、あんたでも
緊張なんてするのね」

その言葉に先方は
【仲がいいんですね】なんて
笑いながら言ってきたから
誤魔化せたことにホッとした。

断るのが前提だとしても
今は目の前の見合いに
集中しよう……
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