〈BL〉一時の幸福(しあわせ)〈短編〉
「俺は陽加のことが好きだ」

今日、二度目の吃驚だ。

『それは、ダチとしてだろう』

本当は違うと分かっているが
十年も待たされた悔しさから
わからないふりをしてみる。

『それに、あの日、
お前もスーツを着てたじゃん』

「俺はきちんと断って来たんだよ」

拗ねたような
ふてくされたような顔をされた。

てか、やっぱり、見合いだったのか……

「で、お前からの
返事を聞いていないが」

いまだに、顕正の膝に
座らされたままだが
ここまできて、応えないのは
反則だよなと思った。

『お、俺も顕正が好きだ』

応えると、いきなり俺を
抱き上げてベッドに寝かせられた。

「ありがとうな。
そんで、さっきは悪かった」

ベッドに寄っ掛かる形で
俺に背を向けている。

多分、さっきのことを
気にしてるんだろう。

『顕正、抱いて』

気配で顕正が驚いてるのがわかた。

「お前、何言ってるか
わかってるのか?」

勢いでこっちを向いた顕正の
目を見て、もう一度言った。

「はぁ~」

ため息を吐いた後、
ベッドに乗って来た。

自分の服を手早く脱ぎ、
俺の服も
あっという間に脱がされた。

「なんだ、
こうなることを
期待してたのか?」
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