黙ってオレのモノになってね。


しかも、ため息を吐いてる、ごめんなさい。もう切るしかないかも。


絡まった髪から手を離し鞄に手を入れるとハサミを手に取った。


『ほんとごめんなさい、今切るから』


ハサミで髪を切ろうとしたら『ちょっと貸して』そう聞こえ


え?そう思ったら『玲央~どこにいるの~』と声が聞こえ『悪い、こっちに来て』


私の手を引っ張り声がしてきた逆の方へ走り出す。


『え、ちょっと待って』
『悪いんだけど黙って』


手をギュッと握られたまま美術室の中に入ってドアを静かに閉めた。


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