ヒカリノトキ







そんな見た目のこともあって




彼は何も話さなくても





それが何故か儚げに見えてまた綺麗で





憧れている女子だって、いた




ただ、見た目でかっこいいという子と、中身に問題があるという子でクラス内でも意見は別れていて





私、深木翠は後者だった





だって仕方ないよ




席が隣だった私は、授業で何かと彼とペアを組まされたけど





彼は一切、私を見てはくれなかった




話しかけても完全無視





先生に当てられてもいつも私が答えなくてはいけなかったし




その答えも、彼の意見は全く含まない




私が一人で考えたもの





消しゴムが彼の椅子の下に落ちたときも





「あの、消しゴム落ちちゃったんだけど…」





気づいてないわけなかった




確かに彼は一瞬、落ちた消しゴムを目で追った






けどなんの反応もなし




私の言葉に目を逸らす




そしてひたすらに





前を向いていた






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