ヒカリノトキ
そんな印象が最悪の状態の彼に
私が矛盾を感じたのは、春から夏の変わり目の梅雨の季節
いつも通り学校で授業を受けていて
相変わらず、隣から声が聞こえることもないまま
窓の外は微かに、雨が降っていた
その日傘を持ってきていなかった私は、度々外の様子が気なっていて
ちらっと、窓を見るため
隣の方に目を向けた
私は水島光を、落ちた消しゴムも拾ってくれないような最低な人だと思っていた
このときまで確実に
だから
窓辺で雨にあたっている虫に
彼がノートの端を破って被せているのを見て
一回だけ、心臓がトクンと動く
音がした
今までただ真っ直ぐに前を
私には見えない何かを見ていた姿しか知らなかった
ゆっくりと窓を閉めた彼は
確かに少し
優しい顔をした