絶対ダメな恋 〜偏見の世の中を生き抜いて〜上
「………え?」
帰る……?
なんでだ……?
一瀬……お前、あの家に帰りたくないんだろ…?
さっきこんなにおいしいご飯初めて食べたって…
泣いてたじゃないか…
「あのね…さっき親に電話したら心配してて…。帰ってこいって言われたんだ…」
嘘だ……。
あの親が言うわけない…。
お前が死にそうな時
気にもかけなかった親だぞ?
「やっぱり……こんな狭くて汚い部屋じゃ嫌か…?」
一瀬は蛇口を止めて、ゆっくり俺に近づいて言う。
「違うよ……先生。僕、狭くて汚いなんて全然思わないよ。僕んちと違ってあったかくて、生きてるって感じの部屋だと思うよ…。」
一瀬の目をしっかりと見つめる。
一瀬は逸らさない。
嘘はない…今の言葉に。
「先生……帰る前に、話すね…。学校であったことを…。俊との…こと。」