絶対ダメな恋 〜偏見の世の中を生き抜いて〜上
……着いた。


僕の家……いや。


僕の檻。


「送ってくれてありがとう先生…」


「…これ。」


先生はポケットから小さな紙を出して、僕にくれた。


「俺の携帯の番号が書いてある。かけたくなったらかけろ。絶対だぞ。」


「…すごく嬉しい!先生…ありがとうっ」


もらった先生との繋がり。


こんな紙切れでも…


一生の宝物になるよ。


「一瀬…」


どうしよう…足動かない。


家に入りたくない…。


先生と離れたくない…。


「先生が…先に帰って…。じゃないと僕…帰れない。」


先生は、少し間をあけて頷いた。


ありがとう…先生。


なんかありがとうしかでてこないね…。


「またな…」


「うん…さようなら」


先生は僕に完全には背を向けず、顔だけは振り向いたまま、ゆっくり歩きだした。


ずっと心配してくれてる…。


あぁ…先生。


…行かないで。


先生行かないで…。


涙が溢れる。


ようやく先生は、顔を前に向けた。


あの背中…。


どんどん小さくなる背中を見て、心細くなる。


追いかけたい…今すぐ。


大好きなあの背中を…。



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