絶対ダメな恋 〜偏見の世の中を生き抜いて〜上
「……先生。」


俺を呼んだ一瀬の目には、涙が溜まっていた。


「僕…その時の状況とか、先生の気持ち、桜井さんの気持ちとか、悩みとか、全然何も知らないよ。…でもね、先生が殺したんじゃないよ…絶対。」


一瀬は泣いているけど、表情は強く、目はしっかりと俺を見つめている。


「先生がそうやって自分を責めることを、桜井さんは望んでいないよ。僕が、自殺しようとした時も、先生が自分を責めないか…それだけが僕は心配だった…。」


桜井の手紙に書いていた。


先生のせいじゃないよ…って。


私が弱いからいけないんだ…って。


でもそれは、あの子の優しさ。


俺を気遣ってそう書いた…。


実際は俺のせい。


…そう思っていた。


「死ぬ時まで、人のことなんか気遣わないよ。思ったこと、伝えたいことがあるから、先生に手紙を書いた。それだけだよ…。」


一瀬は、砂場で遊ぶ子供達を見つめる。

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