絶対ダメな恋 〜偏見の世の中を生き抜いて〜上
「お母さん…お願いがあるんだけど…」


お母さんと話すのは久しぶりだった。


本当に久しぶりだった…。


「何よ?」


僕を見ずにマニキュアを塗りながら答えた。


「明後日さっ…修学旅行じゃん?それで…お小遣いが欲しいな…って」


何とか言えた。


母親にお願い事するのってこんなに勇気がいるの?


「はい」


お母さんは財布からお金を取り出して目の前のテーブルに置いた。


でも…


「お母さん。こんなにいらない…。少しでいい」


「いいから。いらないなら貯金してなさい。いつかは使うんだから」


「…わかった。ありがと…。」


お金さえやればいいんだね…。


もっと修学旅行のこととか聞いてほしかったな。


どこ行くの?


お土産よろしくね!


とか…なんでもいいから。


聞いてよ…。


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