女子力ゼロ女子の恋愛物語
2話:女子力ゼロ女子の気持ち
私達のクラスは1-Cだった。
教室に入り、座席を確認した。
(やった!私の席、たつと遠いし七星には近い!不幸中の幸いだわぁ)
私の席は窓側で、日当たりのいい席だった。
こんないい席になったら寝ちゃいそうだなぁ。
「ちぇ、眞鍋と席離れちゃったかぁ。つまんねえなぁ」
「え?そう?私は超ラッキーなんだけど♪」
と言いながら席に着く私。
やがて担任の先生が教室に入ってきていろいろ話をして、
講堂でやたらと長い入学式が始まり、
教室にもどり簡単な自己紹介をすることになった。
「じゃあ、最初は安藤君からね」
「はーい。えー安藤達亮です。
好きな食べ物はオムライスです。よろしくお願いします。」
パチパチパチ
あー緊張する……人前で発表とか苦手なんだよね……
徐々に順番がまわってくる中、七星の番になった。
「高橋七星です。特技はギターを弾くことです。
可愛いのが大好きです。よろしくお願いします!」
パチパチパチ
急に体が震えてきた。
なんで自己紹介なんかしなくちゃいけないんだよぉぉぉ……
そして私の番になった。
視線が一気に私に向く。
あー緊張するー!
「ま、眞鍋椛愛です。よ、よよろしくお願いします……」
パチパチパチ
「あっはは!!めっちゃ震えてやんの!!笑笑」
うるせー!!んな大声で言うなっての!!
そんなこんなで自己紹介が終わり、
教科書類が配られ、
お昼前に解散した。
「あー学校初日って午前だけだから楽だよねー
帰ったら速攻で昨日のゲームの続きやんなきゃ☆」
「椛愛ったら相変わらずだねぇ」
「本当だよなぁ。よく飽きねえよなぁ」
「うっさいなー!どうせ私は暇人ですよーっ」
「あっははごめんごめん!じゃあ私バスだから!」
「おう、じゃあな」
「七星また明日〜」
七星と別れ、私とたつの二人きりで帰るハメに。
「……」
(超気まずいんだけど!!なんでなんも話さないわけ!?)
「……なぁ。」
気まずい沈黙をやぶったのはたつだった。
歩く速度が遅くなる。
いつものふざけた調子じゃなく、
珍しく真面目な声に戸惑う私。
「な、何?」
「……お前ってさ、
好きな人とか、いんの?」
急に顔が熱くなった。
恐る恐るたつの顔を見たら、
真っ赤になっていた。
思わず下を向く私。
私もたつも、何か変だよ……
「えっ……!?
そそそっ!そんなのっ!!いいいるわけないじゃん!!!!
てか、何でそんなこと聞くの!?」
「……じゃあさ」
「……?」
心臓がバクバクいっている。
うまく呼吸ができない。
「もしも俺が、お前のことが好きだって言ったら、お前は俺と付き合う?」
「え……」
な、ななな……
何言ってるのこいつ!?
顔がさらに熱くなる。
鏡を見なくても、真っ赤になっているのがよく分かる。
足が震え、肩に妙に力が入っていまう。
いつもの調子なら、付き合うわけないってズバッと言えるけど、
なぜか今は言えない。
「わ、私は……」
必死に出した声も震えてしまう。
「つ、付き合……」
「なんてな!!」
……へ?
「何本気になってんだよっ笑笑
ドッキリ大成功〜!!笑笑」
「は、はあぁぁぁぁ!?!?」
長いため息をついた。
もおおおお!期待して損したわ!!
まぁ冗談なのは知ってたけどね?
本当だよ!?
「何驚いてんだよ?当たり前だろ?」
「はいはいよーくわかりました〜。
あんたがそういうやつだってことよーくわかったわ。」
「なぁ何怒ってんだよ〜笑」
「怒ってないし!じゃーね!!」
たつから逃げるように家まで全速力で走って、
家に帰って、
自分の部屋に行き、
ベッドに飛び込んだ。
(まだ心臓がドキドキする……どうして……??)
嘘だって分かってるのに、
なんでこんな気持ちになるんだろ……