【短編】もしも貴方が
お言葉に甘えて、俺は座る。

テレビを見るフリをしてあっちゃんをずっと見ていた。


ガシャン


大きな音がしたかと思うと、あっちゃんの左指から血が流れていった。

俺は急いでかけつけたけど、あっちゃんは大丈夫と言って指を舐めた。


だめだよ、あっちゃん……


「見せてみ?」
俺は強引に腕を掴んで、俺の方に引き寄せる。
まだジワリと血が滲む。

「っ?!」

気が付いたら俺はあっちゃんの指を舐めていた。
< 37 / 45 >

この作品をシェア

pagetop