君のハートを盗んでみせる!
日常
俺はそっと辺りを見回す。

俺の周りには誰もいない。

遠くの方に、おっさんが1人、女子高生が2人、おばさんが1人いるだけだ。

店員はおあつらえ向きに俺に背を向けていて、新刊の本の整理をしている。

チャンスだ。

俺はおもむろに鞄の口を開くと、近くにおいてある漫画を3冊取り上げ、鞄の中につっこんだ。

よし、うまくいった。誰も見ていない。

俺はいつもよりほんの少しだけ足早に店を出る。

悪いね、店員さん。こっちも金がなくて困っているんだ。

俺が店から出ると、一人の女子高生が立っていた。

見慣れない制服だ。どこの高校だろう。

いや、そんなことより、この子、めちゃくちゃ可愛いぞ!!

はっきり言って、モロタイプだ。どストライク!

しかも、さっきから俺のほうを見ていないか?

俺に気があるの?ひょっとして逆ナンか?

俺がそんなことを考えていると、案の定、その女の子は俺に向かって口を開いた。

「ちょっと待ちなさいよ」

逆ナンにしては、なんだか口調がキツイなぁ……。

そう思いながらも、彼女の前に立ち止まった。
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