君の声
「最近大変みたいだね、宮村のこと」
「いや、別に…面倒みるって意味じゃ、今までとあんまり変わりませんし」
たまに寂しくはなるけど。
ま、私なんかよりも当事者の方が大変だろうしね。
「心因性失声症、だっけ。精神的なのが関係してるらしいね」
部長は眼鏡をかけてるだけあって、賢い。どっかの馬鹿と違い、失声症のことを知っているみたいだ。調べたのかな。
「言うべきか迷ったんだけどさ、一応伝えとくね。
宮村、今の状態をあんまり苦にしてないみたいでさ。
加納ちゃんが今までより優しいからってね。
でも、もしかしたら…治らないのって、それが関係あるんじゃないかな」
「関係?」
「治療って、病を治そうって気持ちが大切だと思うんだよね。でも現状に満足してる宮村にそんなのあるわけないし」
部長の考えを頭の中で整理する。