気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
うっとりと目を閉じて蕩けるような舌触りを楽しみ、チョコレートの香りと濃厚な甘みが喉の奥に消えた瞬間、パッと目を開けた。
(よし! リセット完了! 葛木くんの目的がイマイチわからないけど、とりあえずボロは出さないようにしないと)
そう思ったとき、マンションのエントランスの自動ドアが開いて透也が出てきた。ボーダーのカットソーに麻のブラックのシャツを羽織り、ベージュのチノパンにスニーカーというカジュアルな格好だ。
普段会社で見るブラック系の細身スーツのときとはずいぶんと印象が違う。
(ふうん、カジュアルなのも似合うわね)
透也が急ぐふうでもなく凜香に近づいてきた。
「お待たせしました」
「ん、大丈夫」
「あれ、七瀬さん……背が」
透也が首を傾げて凜香を見る。「ああ、そうかヒールか」
「車を運転するんだもの」
凜香が運転席に乗り込み、透也が助手席に座った。
「CDは私の好きなのでいい?」
「俺は何でも構いませんよ」
凜香はオーディオの再生ボタンを押した。彼女の好きな曲の中でも、しっとりと大人っぽい女性の洋楽をセレクトしている。
(よし! リセット完了! 葛木くんの目的がイマイチわからないけど、とりあえずボロは出さないようにしないと)
そう思ったとき、マンションのエントランスの自動ドアが開いて透也が出てきた。ボーダーのカットソーに麻のブラックのシャツを羽織り、ベージュのチノパンにスニーカーというカジュアルな格好だ。
普段会社で見るブラック系の細身スーツのときとはずいぶんと印象が違う。
(ふうん、カジュアルなのも似合うわね)
透也が急ぐふうでもなく凜香に近づいてきた。
「お待たせしました」
「ん、大丈夫」
「あれ、七瀬さん……背が」
透也が首を傾げて凜香を見る。「ああ、そうかヒールか」
「車を運転するんだもの」
凜香が運転席に乗り込み、透也が助手席に座った。
「CDは私の好きなのでいい?」
「俺は何でも構いませんよ」
凜香はオーディオの再生ボタンを押した。彼女の好きな曲の中でも、しっとりと大人っぽい女性の洋楽をセレクトしている。