気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
思い出して懐かしいようなほろ苦いような気分になったが、ほかにいい店を知らないのだから仕方がない。ネットでも調べてみたけれど下見をする時間がなかったので、安全な選択肢に逃げたのだ。
しばらく走ってから、透也がぽつりと言った。
「俺、デートしましょうって言いましたよね?」
「ん、そうね」
運転中に話しかけられ、凜香は適当に短く相づちを打った。透也が何か言っているのはわかるが、話の内容は頭に入ってこない。顔の表情はあまり変わっていないように見えても、姿勢は若干前のめりになっている。実はめったに運転しないので、交通量が多く、車間距離の狭い幹線道路での運転に、今ものすごく必死なのだ。
「七瀬さんの彼氏、怒ったんじゃないですか?」
「そうね」
「俺の同期の女子が、七瀬さんはその辺の男には興味なさそうだって言ってたけど、それはやっぱりその彼氏のせいですか?」
「そうね」
「そんなに魅力的な人なんだ」
「そうね」
「女性をリードしない男って珍しい気がするんですけど」
「そうね」
凜香の相づちがどうやら上の空だと気づいたのか、透也の口角がわずかに上がった。
しばらく走ってから、透也がぽつりと言った。
「俺、デートしましょうって言いましたよね?」
「ん、そうね」
運転中に話しかけられ、凜香は適当に短く相づちを打った。透也が何か言っているのはわかるが、話の内容は頭に入ってこない。顔の表情はあまり変わっていないように見えても、姿勢は若干前のめりになっている。実はめったに運転しないので、交通量が多く、車間距離の狭い幹線道路での運転に、今ものすごく必死なのだ。
「七瀬さんの彼氏、怒ったんじゃないですか?」
「そうね」
「俺の同期の女子が、七瀬さんはその辺の男には興味なさそうだって言ってたけど、それはやっぱりその彼氏のせいですか?」
「そうね」
「そんなに魅力的な人なんだ」
「そうね」
「女性をリードしない男って珍しい気がするんですけど」
「そうね」
凜香の相づちがどうやら上の空だと気づいたのか、透也の口角がわずかに上がった。