気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
第三章 御曹司の狙い
「チキンのソテーにしようかと思うんだ。やっぱ赤ワインが合うよな」
透也は高級食材を扱うスーパーでカゴに鶏もも肉のパックを入れた。
「私はワインは遠慮しておく。運転しなきゃいけないし」
透也の横を歩く凜香がそっけなく言った。
「まさか帰るつもり?」
「当たり前でしょ。〝本物のデートじゃなくて結構ですよ〟って言ってたのは透也くんの方じゃない」
「透也でいいって言ったのに」
「無理」
凜香の口調は相変わらず冷たく、透也はどうにか落胆を押し隠した。
(酔わせるのは諦めるとするか。でも、さすがの凜香でも男の手料理にはぐっとくるんじゃないか?)
そんなことを思いながら、もう一押ししてみるか、と右手を凜香の腰に回した。
「何す……」
「デートだから」
凜香がふいっと顔を背ける。
(特定の相手はいないって言ってたし、屋上であんなコトをしてるくらいだから……俺にも簡単に落ちると思ったのになぁ……。屋上の男はいったいどうやって凜香を口説いてるんだろう)
内心首をひねりながら、透也は会計を済ませて店を出た。凜香の車で彼のマンションまで送ってもらう。
透也は高級食材を扱うスーパーでカゴに鶏もも肉のパックを入れた。
「私はワインは遠慮しておく。運転しなきゃいけないし」
透也の横を歩く凜香がそっけなく言った。
「まさか帰るつもり?」
「当たり前でしょ。〝本物のデートじゃなくて結構ですよ〟って言ってたのは透也くんの方じゃない」
「透也でいいって言ったのに」
「無理」
凜香の口調は相変わらず冷たく、透也はどうにか落胆を押し隠した。
(酔わせるのは諦めるとするか。でも、さすがの凜香でも男の手料理にはぐっとくるんじゃないか?)
そんなことを思いながら、もう一押ししてみるか、と右手を凜香の腰に回した。
「何す……」
「デートだから」
凜香がふいっと顔を背ける。
(特定の相手はいないって言ってたし、屋上であんなコトをしてるくらいだから……俺にも簡単に落ちると思ったのになぁ……。屋上の男はいったいどうやって凜香を口説いてるんだろう)
内心首をひねりながら、透也は会計を済ませて店を出た。凜香の車で彼のマンションまで送ってもらう。