気まぐれ猫系御曹司に振り回されて

「うん、わかった！」

　成実が再び足で地面を蹴り始め、オルゴールが楽しげな音楽を奏で始める。それを聴きながら凜香はグラウンドへと走った。

「おはよう！」

　グラウンドにいる十五人くらいの子どもたちに声をかけると、元気な声が返ってくる。

「おはよー！」
「凜ちゃん、待ってたよ！」
「凜ちゃんは成樹のいるライトニング・サンダーの方ね」

　男の子に一人混ざっているショートカットの女の子が言った。

（小学二年生くらいかな？）

「あなたのチームはなんて名前なの？」

　凜香の問いかけに女の子が胸を張って答える。

「オオサカ・ナデシコ」
「いいわね。今は何対何？」
「五対二でオオサカ・ナデシコが勝ってる」
「じゃあ、がんばらなくちゃ」

　凜香は言って、成樹のいるチームのゴールエリアに向かった。といってもゴールポストはなく、コンクリート製のベンチがゴール代わりだ。ボールがベンチの下をくぐるかベンチに当たればゴール。それが毎週ここで遊ぶ子どもたちのルールだ。

「いいわよー！」