気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
 凜香が大きく手を振ると、黄色と青の子ども用サッカーボールを持った成樹が、センターマークにボールを置いた。

「ようし、試合再開!」

 成樹の合図でゲームが始まった。成樹にパスされたボールをライトニング・サンダーの男の子がドリブルで運ぶ。だが、すぐにオオサカ・ナデシコの女の子に奪われてしまった。

(うまいなぁ)

 感心している間に攻め込まれ、成樹が声を出す。

「みんな戻れ!」

 攻める敵チームをゴール前に集まって防ごうとする味方チーム。その競り合いを制したのはオオサカ・ナデシコの男の子だった。思いっきり蹴られたボールが凜香の胸の前に飛んできて、それをしっかりとキャッチした。

「凜ちゃん、ナイスセーブ!」
「ありがとっ。さあ、今度はこっちから行くわよ! みんな上がって上がって!」

 凜香の声に反応して、子どもたちが敵も味方もピッチを駆け上がっていく。凜香は成樹の足元目がけてボールを投げた。それを成樹が少しドリブルしたが、奪われそうになって仲間にパス。ボールを受けた子が何人かかわしてシュート。ボールはベンチに当たってグラウンドの隅へと転がっていく。
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