気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「みんなー、そろそろお昼ご飯にしましょー!」

 ちょうどボールがサイドラインを割ったので、試合終了とすることになった。ボールを拾い上げた成樹が、額に汗を光らせながら悔しそうに言う。

「あー、あと一点で同点だったのになぁ!」
「惜しかったね~」

 凜香は首に巻いたタオルで汗を拭いた。

「凜ちゃんが来るまで一人少なかったからなぁ」
「一人少ないのによくがんばったよ」

 凜香は言いながら、木陰でレジャーシートを敷いて待っている涼香やそのママ友夫妻たちのところに向かった。ときどきこうして姉の家に来て子どもたちと一緒に遊んでいるので、涼香のママ友たちとも顔なじみだ。

「こんにちは」

 一通り挨拶してから、凜香は涼香の隣に座った。

「オルゴール、かわいいわね。おかげで成実、一人で自転車に乗れるようになったのよ」

 涼香に言われて、凜香は嬉しくなって笑った。

「よかったぁ。じゃあ、次は〝レット・イット・ゴー〟のを作らなきゃ」
「凜香は小さな頃から手先が器用だったものね。うらやましい」
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